International Non-governmental Organization PEACE.(略称:ingo PEACE.)はこのたび、ミャンマー国内の刑務施設を民間団体として初めて公式に訪問し、収容者の生活環境改善を目的とした人権に基づく生活衛生物資の寄附活動を実施しました。今回の活動は、中立的な国内独立機関である「ミャンマー人権委員会(Myanmar National Human Rights Commission、略称:MNHRC)」との協力連携のもと、石けんや女性用衛生用品など、基本的な生活衛生物資を直接施設へ届けるもので、収容環境の衛生改善と健康保持を支える支援となります。この取り組みは、境遇や立場にかかわらず、すべての人の尊厳を守るという当団体の理念を体現するものであり、今後も人権の尊重と社会的包摂を促す活動を継続してまいります。

過酷な場所からはじめる
今後、政治犯を多く収容する刑務施設において、ミャンマー人権委員会(MNHRC)が発行する基本的人権教本を活用した啓発を実施していきます。逮捕収容の背景には、生活困窮や不平等に起因した社会運動デモへの参加など、市民の切実な声が存在しています。当団体は、これらの受刑者に対し、人間としての尊厳と基本的人権を再確認する機会を提供します。
また、女性刑務施設における石けんや生理用品といった生活必需品の欠乏が感染症蔓延を招いている実状を受け、生活衛生用品の物資支援を含む包括的な支援活動を展開。教材印刷・文具支援など教育環境の整備も含め、社会的再出発のための基盤構築にも取り組んでいきます。
■活動報告■
2025年7月31日には、民間団体として初めて刑務施設を訪問、インセイン中央刑務所へ生理用品・石けんなど6,240人分の生活衛生物資を寄贈。続く8月5日には、マンダレー・オーボー刑務所へ24,000人分の寄付実施をはじめ、このたびミャンマー全刑務施設への支援物資寄附を完了いたしました。今後ミャンマー全土の刑務施設に対し、MNHRCとともに人権教育の機会を展開していきます。


活動の背景
ミャンマーでは、経済制裁による物資不足の影響により、刑務施設における生活環境や衛生状態の悪化が深刻な課題となっています。ingo PEACE.は、「すべての生命が安心して暮らせる社会」を実現するための共生型社会モデル構築の一環として、社会の最も脆弱な立場にある人々の人権尊重と生活改善を優先課題と位置づけています。今回の刑務施設訪問は、こうした理念に基づき、国内外の垣根を越えた人権支援の新たなモデルケースとして実施されました。

今後の展望
本活動を通じて構築された現地での信頼関係のもと、MNHRC(ミャンマー人権委員会)との正式な会合が開かれ協議が開始されました。今後は刑務施設内での教育プログラムや衛生啓発活動など、生活再建と社会復帰を支える取り組み、そして、政府官僚、軍高官教育施設、警察学校への人権教本の配布や講習会など、人権推進に対する協力関係のもと支援活動を計画していきます。

ingo PEACE.は、民間の立場から人権と尊厳を守る活動を広げ、教育現場や地域社会への波及的拡大を視野に、ミャンマーにおける人権の根づくりを支援しながら、世界との連携を推進し、社会全体の意識変革につなげてまいります。
《いま、ミャンマーは変わろうとしています。》
● Myanmar National Human Rights Commission(本部:ミャンマー)について
ミャンマー人権委員会(Myanmar National Human Rights Commission、略称:MNHRC)は、ミャンマー国内において基本的人権の保護と促進を目的に設立された独立性を有する国内機関です。2011年の創設以来、国内外の人権状況に関する調査・勧告・啓発活動を通じて、市民の権利と自由を尊重する社会の実現に努めています。中立性を重視しながらも、国家機関や民間団体との協働を通じて、特に教育現場や矯正施設における人権意識の向上に取り組んでおり、国際基準に沿った啓発教材の作成・普及を進めています。ミャンマーの将来に向けた民主化への土壌づくりを支える存在として、国内外から注目を集めています。